ケーススタディ

売買判断のケーススタディ3|急落リスクを抑える人気株の選び方

人気株は、株価が急騰し、出来高/売買金額も増えます。その変化を見て、人気化していることに気づいたり、思わず飛びついたりする個人投資家も多いかもしれません。

もちろん、その方法で利益が得られることもあるでしょう。しかし、買ったところが株価の天井で、そこから急落に巻き込まれることもあります。

今回は、そのような急騰株の選び方について見てみることにしましょう。

ブイテクノロジーを買い推奨した理由

まず押さえておきたいのは、株の需要・供給は、一般的な商品とは少し違うということです。
テレビや車などの場合、人気があるものほど飛ぶように売れます。売れることが「いい商品」の証でもあり、買い手も「売れている」という事実に安心感を持ちます。

しかし、株の場合は、出来高/売買代金が多い銘柄が、必ずしも「いい銘柄」とは限らないのです。例えば当社は、2016年6月7日にブイテクノロジー(7717)を買い推奨しました。推奨株価は8,170円です。ブイテクノロジーは、液晶ディスプレーや有機ELディスプレーの製造や、検査関連装置を手がける会社です。

この分野はもともとシャープ(6753)などが強みを誇っていたのですが、韓国や台湾のメーカーが大規模な設備投資を行い、市場競争で負けていきます。また、その流れを追いかけるように中国も設備投資に力を入れ、巨大な工場を作り、シェアを取りにいっています。その流れに乗っていたのがブイテクノロジーでした。

技術的に見て液晶は古いと思う人もいるかもしれませんが、実はまだまだ使い道があります。家具や家電のIoT化が進んだり、工場のオペレーションを自動化したりする流れの中で、操作パネルに液晶は不可欠です。また、その際に求められる液晶は高スペックである必要はなく、安価であることがポイントになります。

つまり、テレビやスマートフォンには高精彩の液晶を使い、それ以外の家電などは安価な液晶を使うといった住み分けがあり、その流れとブイテクノロジーの事業が合致していたのです。

売買代金と「いい銘柄」の関係

ちょうどそのころ、個人投資家を中心に注目されていたのがブランジスタ(6176)です。100株あたりの投資金額は大体同じでしたが、出来高/売買代金に差がありました。

当時の1日あたりの売買代金を見ると、ブランジスタは大体750万株(750億円弱)。ブイテクノロジーは120万株(120億円弱)くらいです。

ブイテクノロジーもそれなりに人気はありましたが、とにかくブランジスタが異常でした。人気が人気を呼び、どんどん買い手が増えたのです。買い手はおそらく「売買代金が増えているのだから人気がある」「いい銘柄だ」「さらに上がる」と考えたのでしょう。

しかし、実際はそこが天井だったのです。

選択の結果

8,170円で買い推奨したブイテクノロジーは、その後1年で20,000円を超え、買値から2倍以上を達成しています。一方で、同価格帯だったブランジスタは急落し、2017年1月現在で1,600円台を推移しています。

売買判断のポイント

重要なのは、出来高や株価の上昇度合いだけを見て飛びついてはいけないということです。中には、株価急騰で注目を集め、さらに株価が上がっていくこともあります。最近の例では、ポケモンGOの時の任天堂(7974)が好例といえるでしょう。

ただ、そのような銘柄は決して多くありません。期待で株価が高騰する一方、実際の業績がついてこないために、急騰から急落へと一変してしまうことがあるのです。

人気の銘柄は短期で株価が急騰します。しかし、業績はそこまで急に変わらないものです。そのギャップが大きいほど、急落に巻き込まれるリスクと、巻き込まれたときの損失が大きくなります。

人気銘柄を売買する場合は、出来高や株価だけでなく、事業内容や将来性も検証してみてください。それが難しい場合でも、「売れているから、いい銘柄」とは限らないということ、そして、出来高/売買代金があり、盛り上がっているうちに次の銘柄に乗り換えることを覚えておくようにしましょう。

本連載は、自著『資金30万円を巨額資産に大化けさせる 銘柄「乗り換え」株式投資法』(幻冬舎)から一部を抜粋したものです。本コラムは実際の投資の成功を保証するものではありません。本コラムを用いた運用は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本コラムの内容に関して運用した結果については、ライジングブル投資顧問株式会社はいかなる責任も負いかねます。なお、本コラムに記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時(2017年12月)のものであり、変更されていることがあります。
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プロフィール

藤村

ライジングブル投資顧問株式会社

代表取締役社長 藤村 哲也

【経歴】

1965年生まれ。横浜市立大学経営学科卒業。1990年太平洋証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)入社、証券営業を経て1996年より投資情報部で証券アナリストとして勤務。合併により2000年よりUFJつばさ証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)に勤務し、最終役職はUFJつばさ証券部長代理。独立後、2003年6月にライジングブル投資顧問株式会社を設立。中国株、日本株情報サイトを運営し、会員向けに株による財産形成を総合的にサポートしている。Yahoo! ファイナンス 投資の達人、All About株式ガイド。

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