投資のノウハウ

中国株の銘柄選びでは「国策に売りなし」を意識しておく

みなさんが最も気になるのは、中国株でどんな銘柄を買えばよいのか、どんな銘柄が有望なのかということではないでしょうか。

日本株のところで何回か書いてきましたが、世の中は常に変化し続けていて、ある時点で「期待できる」と判断した業界や銘柄も、世の中が変わると有望ではなくなってしまいます。

中国株も同様です。そのため、現時点でこれから有望な業界や銘柄を具体的に挙げていくことはなかなか難しいと言えます。

中国と日本の政策を把握する

ただ、中国と日本では少々状況が異なります。それは、中国では日本に比べると「国主導で物事が進む」という点です。そこで、中国政府が「この分野に力を入れる」と言っている方向(その方向が絶対に有望だとまでは言えませんが)には、目を向けておく必要があります。

その大きなヒントとなるのが、中国共産党が5年に一度公表している「5カ年計画」です。「5カ年計画」とは国が中期的に注力する事業や経済運営のあり方を定めた国づくりの指針で、2016年からは第13次5カ年計画がスタートしています。

経済の中高速成長維持、生活水準と質の普遍的向上、国民の資質と文明化の著しい向上、生態環境の総体的改善、各種制度の一層の成熟化・定型化の5つの目標を挙げています。経済発展目標達成のためにイノベーション(創新)、協調、グリーン(緑色)、開放、共有(共享)の5つの発展理念が掲げられました。

これを業界・事業に当てはめると、たとえばイノベーションはIT産業、「環境に配慮した発展」は環境関連の事業などが見えてきます。また、5カ年計画の概要では、年6.5%以上の経済成長が必要なことや、一人っ子政策の全廃、定年年齢の段階的な引き上げなどにも触れられていて、銘柄選びの参考になるだけでなく中国の今後の方向性を知る上でも非常に重要な資料となっています。

「国策に売りなし」という株の有名な格言があります。文字どおり、「国の政策で追い風を受ける株は買っておいて損はない」という意味です。日本でも、国が今後注力していきたい業界などを戦略として発表していますが、中国の場合はもっと強力です。5カ年計画の中身には、必ず注目しておきましょう。

本連載は、自著『資金30万円を巨額資産に大化けさせる 銘柄「乗り換え」株式投資法』(幻冬舎)から一部を抜粋したものです。本コラムは実際の投資の成功を保証するものではありません。本コラムを用いた運用は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本コラムの内容に関して運用した結果については、ライジングブル投資顧問株式会社はいかなる責任も負いかねます。なお、本コラムに記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時(2016年2月)のものであり、変更されていることがあります。
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プロフィール

藤村

ライジングブル投資顧問株式会社

代表取締役社長 藤村 哲也

【経歴】

1965年生まれ。横浜市立大学経営学科卒業。1990年太平洋証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)入社、証券営業を経て1996年より投資情報部で証券アナリストとして勤務。合併により2000年よりUFJつばさ証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)に勤務し、最終役職はUFJつばさ証券部長代理。独立後、2003年6月にライジングブル投資顧問株式会社を設立。中国株、日本株情報サイトを運営し、会員向けに株による財産形成を総合的にサポートしている。Yahoo! ファイナンス 投資の達人、All About株式ガイド。

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