投資のノウハウ

「安くて買いやすい株」ばかりを買ってはいけない

資金が少なくても、買える銘柄は数多くあるというのはすでに説明したとおりです。

ただし、「安くて買いやすいから」という理由だけで銘柄を選んではいけません。「安くて買いやすい」というのは、あくまで買う側から見た理由に過ぎません。「安くて買いやすい株」は個人投資家に人気が高く、個人投資家に物色された後は、戻り待ちの売りが多くなり、株価が上昇しにくいことがよくあるからです。

その銘柄を買いたい理由を考える

気にしなくてはいけないのは、その銘柄の株価が着実に上昇していくのか、株価が上昇するための期待できる材料があるかどうかということです。

そもそも、投資金額が少なくて済む銘柄は、現在株式市場で大きな買い手となっている外国人投資家や年金資金には敬遠されがちです。外国人投資家や機関投資家は、何億、何十億という単位で資金を動かしていますから、たとえばファーストリテイリング(最低投資金額約400万円)やファナック(最低投資金額約200万円)といった超値がさ株を売買したほうが利便性が高いためです。1単元が10万円という銘柄を大量に買い付けるのは非効率なため、個人投資家に人気の株は敬遠する傾向にあるのです。

では、安い株はすべてダメかというと、そうではありません。大化け期待の高い株があれば、10万円以下でも選択する価値は十分あります。実際、10万円以下の株が大化けするというケースも少なくありません。大化けとまではいきませんでしたが、たとえば「日本通信」も投資金額は4万円台で、短期間で2倍まで株価は上昇しています。

つまり、「安いから買おう」ではなく「買う理由がある株を買う」、という当たり前のことをよく頭に入れておくことが重要です。

なお、現在は外国人投資家が主体の相場が続いていますが、個人投資家が主体の相場になれば買われる銘柄が変わってくるという可能性もあります。銘柄だけを見るのではなく、「誰が買っている相場なのか」も気にしてください。

小型株に投資する際には、「足切りライン」を意識しよう

少額資金から投資をスタートする場合、大きく減らさないことが重要になってきます。そのためには、最初は「リスクの高い銘柄」にはなるべく手を出さないほうがよいでしょう。「バブル株」を買うのは論外ですが、それ以外にも意識しておきたいポイントがあります。それが、企業の規模と売買の規模です。

資本金や時価総額(株価×発行済み株式数)が低くて、1日の売買代金が1億円に満たないような銘柄には注意が必要です。小型株で商いが少ないから買ってはダメというわけではありませんが、新興市場で知名度が低く、1日の売買代金が1000万円とか2000万円しかないような銘柄を買ってしまうと、いつの間にか投機的な値動きに惑わされ、ギャンブルに巻き込まれやすいからです。大きく値下がりして最初から大きな損失を被ったり、含み損を抱えて身動きが取れなくなったりしてしまうことになりかねません。

そこで、次の数字を「足切りライン」と考えて、数字を満たさない銘柄は基本的には買わない、またはどうしても買いたい場合には、通常以上に慎重に検討するといった対応を心掛けるようにしてください。

■足切りラインの目安

年間売上高…100億円以上
1日の売買代金…1億円以上

本連載は、自著『資金30万円を巨額資産に大化けさせる 銘柄「乗り換え」株式投資法』(幻冬舎)から一部を抜粋したものです。本コラムは実際の投資の成功を保証するものではありません。本コラムを用いた運用は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本コラムの内容に関して運用した結果については、ライジングブル投資顧問株式会社はいかなる責任も負いかねます。なお、本コラムに記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時(2016年2月)のものであり、変更されていることがあります。
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プロフィール

藤村

ライジングブル投資顧問株式会社

代表取締役社長 藤村 哲也

【経歴】

1965年生まれ。横浜市立大学経営学科卒業。1990年太平洋証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)入社、証券営業を経て1996年より投資情報部で証券アナリストとして勤務。合併により2000年よりUFJつばさ証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)に勤務し、最終役職はUFJつばさ証券部長代理。独立後、2003年6月にライジングブル投資顧問株式会社を設立。中国株、日本株情報サイトを運営し、会員向けに株による財産形成を総合的にサポートしている。Yahoo! ファイナンス 投資の達人、All About株式ガイド。

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